恵比寿の五差路で道に迷う

あの五差路には人を惑わす魔物が棲んでいるに違いない

形骸化のG

【閲覧注意!】

お食事中の方は、回れ右してまた次の機会に。
繊細な方は見てはイカン!

「でもあれだろ?
"イヤよイヤよも好きのうち" みたいな。
"そんな事無いよ待ち" みたいな。」

なんて宣う輩は、読んで後悔しやがれ。










玄関を掃き掃除しようとして
それを見てしまった。

夏の風物詩ともいうべき
黒光りする憎いあんちくしょう。
通称Gである。

この夏に一度、出会ってしまったのだが
一度の逢瀬だけでも
メンタル破壊力は十分な威力で
私はしばらく怯えて暮らしていた程である。

玄関でGが視界に入った際も、
特有のすばしっこさを恐れていたのだが
なんだか様子がおかしい。




死んでる?




その事実を認めた瞬間
私はすぐさま箒を手に取り
Gを外へと掃き捨てたのである

遠くへ、我が家から少しでも遠くへ。
ただひたすら、
その想いを込めて掃き続けた。




気が収まった頃に家へ戻ったのだが
大きな恐怖に駆られて
蛮行を行った輩の様な気持ちになったのは
正直否めない。

しかし、後悔はしていない。

背筋をピンと伸ばし
目を見開き
真っ直ぐ相手の視線を受け止めながら
そう言えてしまうほど、
Gの存在感は重厚なのである。