恵比寿の五差路で道に迷う

あの五差路には人を惑わす魔物が棲んでいるに違いない

立つ鳥跡を濁さず

9月11日、NASAが打ち上げた
土星系探査機であるカッシーニ
最後のミッションに突入した。

自らを破壊する為に
土星に衝突する軌道に入ったのである。

環境に配慮する為とはいえ
自分の存在を自分で消滅させなくてはならない。
そんなカッシーニを想うと
なぜかとても胸が痛む。


カッシーニは探査を開始した2004年から
様々なオーダーを実行し
45万以上の画像を
地球に送り続けたのだそうだ。

孤独な環境にありながら
実務へ忠実に励む様は
なんとも健気でいじらしく思えてしまう。


天体に大して興味が無い私ですら
こんな風に感情移入してしまうのであれば、
天体ファンの方々が感じる心痛はいかほどか。

カッシーニを設計し、打ち上げ、
送られてくるデータを確認していた方々であれば
自分達が産み出した誠実な相棒に
大きな愛着を感じていてもおかしくない。
理性的な判断とはまた違う心の動きを
彼等も感じているのだろうか。




カッシーニ、今までありがとう。
有終の美を飾るほどの素晴らしい仕事ぶりで、
こちらの心と体は在らぬ反応を示します。

君の死までが
プロジェクトであると理解しているのに。